世界遺産 富士山情報

「後世に」考える契機

富士山が三保松原を含む形で世界文化遺産に登録された。諮問機関の勧告を覆しての完全登録は、日本政府の各委員による国への働き掛けに加え、すぐに景観保全に動きだした地元の熱意も影響したはずだ。 先行する国内遺産と同様、今後は観光客の急増が予想される。
富士山はすでに年間30万人が登り、早朝の山頂付近は特に混雑する。勧告では山肌の崩 落や登山者の安全確保への懸念が示され、ユネスコは2016年までに対策をまとめた報告書の提出を求めた。

過剰利用(オーバーユース)への対応は待ったなしだ。 静岡、山梨両県は入山料の試験導入を決めた。ただ、1000円では登山者の数はそれほど減らないだろう。「入山料と入山抑制は別問題」(日本山岳協会の尾形好雄専務理事)との指摘もある。登山者の人数制限も議論すべきだ。 観光客の分散化も一つの方策だ。構成資産の多くは五合目以下にあり、登山以外にも楽しみ方はある。 情報発信の拠点となる「世界遺産センター」や市民ガイドの活用を通じて富士山の魅力を分かりやすく紹介する体制づくりが欠かせない。
登録はさまざまな課題を突きつけるが、何より重要なのは世界遺産を持つ誇りを地元にもたらすことだと思う。 人類共通の宝となった富士山をいかに後世に受け継いでいくか。今私たちは真剣に考えなければならないターニングポイントを迎えている。